ずわいがにの成長と年齢

第1脱皮齢

 浮遊期幼生はプレゾエア・ゾエア・メガロッパと脱皮する毎にその形を大きく 変化させます。メガロッパが脱皮をすると、始めてカニ本来の形をし、 その後は脱皮をして大きくはなるものの形は殆ど変わりません。 そこで、始めてのカニを第1脱皮齢(以下第1齢と呼ぶ)と呼んでいます。

 第1齢の甲幅はわずか3.1mmです。親ガニの甲らは幅と長さがほぼ同じであるのに、 第1齢では幅が狭いという特徴がありますが、脱皮を繰り返し、 成長するにつれて幅と長さの差が次第に小さくなります。 全身は剛毛でおおわれ、泥やゴミを付着させます。 したがって、海底では容易に見つけられないと思われますが、 海底付近を生活の場としている底魚(そこうお)と呼ばれるカレイ類やゲンゲ類の 胃の中からは容易に見つけ出すことができます。 大きくなったズワイガニは無敵とみられていますが、 小さなときには、多くのカニがえさとなっているのです。

※「科学の目でみた越前がに 著者 今攸」より転載

脱皮

 底生生活に入った稚がには脱皮を繰り返しながら成長します。 雌がには10回の脱皮をして初めて親となり交尾、産卵、抱卵します。 その間8~10年がかり、その後は脱皮をせず7年以上は生き続けます。 雄がにも10回の脱皮をして親になり、交尾ができるようになります。
しかし、その後も2~3回の脱皮を行って成長しますから、 雌がには小さく、雄がには大きいのです。

脱皮齢と甲幅

※「越前町公共施設管理公社 越前がにミュージアム」より転載

年齢

 かには脱皮の度に硬い甲らを脱ぎ捨てるため、魚の骨、うろこ、耳石などのように、年齢を推定できるものがありません。そこで、各脱皮齢のかにが次の脱皮を行うまでの期間、つまり脱皮間隔の長さを推定し、それらを合計して年齢が推定されています。この方法によると、浮遊生活の期間は約3ヵ月で、底生生活に入ってからは1年または1年以内に脱皮をすると考えられ、雌雄ともに成体になるまでの期間、つまりは漁獲対象になるまでの期間は8ないし10年とみられています。雌が成体になってからは7年以上生き続けることは標識放流から明らかであり、寿命は15ないし17年いじょうと計算されます。雄もほぼ同じ寿命とみられます。

 タイセイヨウズワイガニの雌が成体になるまでの年数は8±5年、雄が第14齢(甲幅131mm)の大がにになるまでには11±5年と考えられています。

 しかし、年齢に関しては不明な点も多く、もっと短期間で親になるのではないかと考える人もいます。なぜなら、ふ化した幼生を飼育したところ、水温は2.3~5.2℃と高いものの、4.4年で雌が親になったこと、およびオオズワイガニが甲幅80~90mmの親になるまでにわずか2.5年、甲幅140mmに達するまでに7.5年であると推定されているからです。

※「科学の目でみた越前がに 著者 今攸」より転載

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